70歳以降の厚生年金保険料はいつまで?天引き終了ルールと手取り検証
定年延長や継続雇用制度の定着に伴い、70歳を超えても第一線で働き続けるシニア世代が当たり前となった2026年現在。給与明細を確認するたびに、「厚生年金保険料はいつまで給与から引かれ続けるのか」と疑問を感じる方が増えています。
働いている限り一生涯引かれ続けると誤解されがちですが、厚生年金保険料の徴収には明確な年齢制限が存在します。知っておくべき給与天引きの終了時期や手取りの変化、健康保険との違いについて整理しました。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:厚生年金保険料は「70歳誕生日の前日」に資格を喪失し、その月以降の給与天引きが完全にストップします。
- 要点2:厚生年金保険料が免除されても、健康保険料は75歳(後期高齢者医療制度への移行)まで天引きが継続します。
- 要点3:保険料負担がなくなっても「在職老齢年金の支給停止基準」は適用され続けるため、年金と給与の合計額には注意が必要です。
【結論】厚生年金保険料の徴収はいつまで?「70歳誕生日前日」の資格喪失ルール
会社に勤務していても、厚生年金保険料が徴収されるのは「70歳になるまで」です。法律上の詳細な規定では、70歳到達厚生年金資格喪失のタイミングは「70歳の誕生日の前日」と定められています。
公的年金制度における年齢計算は「誕生日前日に1歳年をとる」という法律(年齢計算ニ関スル法律)に基づきます。資格喪失日が含まれる月の保険料は徴収されない仕組みであるため、誕生日の日付によって天引きが終了する月が異なります。
例えば、9月1日生まれの方は8月31日に資格喪失となり、8月分(通常9月支給給与から控除)から厚生年金保険料の徴収がなくなります。一方、9月2日生まれの方は9月1日に資格喪失となるため、9月分(通常10月支給給与から控除)から70歳以降厚生年金保険料免除の扱いとなります。
給与明細はどう変わる?70歳以降の手取り額シミュレーション
厚生年金保険料の天引きが終了すると、給料の手取り額にはどのような影響が出るのでしょうか。月給30万円(標準報酬月額30万円)のケースで70歳以降給与手取りシミュレーションを確認してみます。
厚生年金保険料率は労使折半で9.15%であるため、月給30万円の場合、毎月約27,450円が給与から差し引かれていました。70歳を迎えるとこの負担がゼロになります。
ただし、浮いた分がそのまま手取り増になるわけではありません。厚生年金保険料の支払いがなくなることで、所得税や住民税を計算する際の社会保険料控除の変更点が生じます。控除額が減ることで課税所得が増加し、所得税・住民税が数千円程度増額されるため、実際の手取り増加幅は毎月およそ2万2,000円〜2万4,000円前後となります。
健康保険・介護保険との決定的な違い|75歳まで徴収が続く理由
70歳を迎えて厚生年金保険料がゼロになっても、社会保険料のすべてが引かれなくなるわけではありません。特に混同しやすいのが健康保険と介護保険の取り扱いです。
会社員が加入する健康保険(協会けんぽや健康保険組合)は、健康保険料75歳まで徴収が続きます。75歳になるとすべての国民が「後期高齢者医療制度」へ加入を切り替えるため、会社の健康保険から自動的に脱退する仕組みです。
また、40歳から65歳未満まで給与天引きされていた介護保険料は、65歳到達時に給与からの控除が終了し、原則として受給する年金からの直接天引きに切り替わっています。70歳時点で給与から引かれ続けるのは「健康保険料のみ」となる点を把握しておくと、明細のチェックがスムーズになります。
【注意】保険料はゼロでも「在職老齢年金」の支給停止基準は適用される
70歳を過ぎて厚生年金の被保険者資格を失った後も、厚生年金適用事業所で一定以上の給与を得て働く場合は、在職老齢年金支給停止基準が継続して適用されます。
これは年金もらいながら働く上限額として知られるルールです。基本月額(受給する老齢厚生年金の月額)と総報酬月額相当額(給与+直近1年間の賞与の1/12)の合計が基準額(50万円)を超えると、超えた部分の2分の1の年金が支給停止となります。
「70歳を過ぎて保険料を払っていないのだから、年金は満額もらえるはずだ」と誤解して働き、年金が一部または全額カットされてしまうケースは後を絶ちません。70歳以降の就労条件を決める際、年金受給額とのバランス確認は必須のチェック項目です。
受給額をさらに増やしたい場合の「高齢任意加入被保険者制度」とは
厚生年金は原則70歳で終了しますが、年金の受給資格期間(10年)を満たしていない場合や、年金額を満額に近づけたい高齢者のために高齢任意加入被保険者制度が用意されています。
この制度を利用すれば、70歳以降も事業主の合意を得て(または個人全額負担で)厚生年金に任意加入し、保険料を納付し続けることができます。受給権を満たしていない方の救済措置として機能しているほか、少しでも将来の年金受給額を増やしたい場合の選択肢として活用されています。
【2026年最新動向】年金制度改正議論と70歳以上被用者該当届の基礎知識
70歳に達した従業員を雇用し続ける企業側は、日本年金機構に対して70歳以上被用者該当届手続きを行う義務があります。これにより、保険料の徴収はストップしつつも、前述した在職老齢年金の支給調整が正しく行われるよう管理されます。
2026年現在、公的年金制度の持続可能性と高齢者の就労拡大を背景に、2026年年金制度改正最新動向として「厚生年金の加入可能年齢を75歳まで引き上げる案」や「在職老齢年金制度の見直し」に関する本格的な議論が進められています。
今後の法改正によって加入上限年齢が引き上げられた場合、70歳以降も保険料を納め、その分将来の年金額を増やす形へと制度設計が変わる可能性があります。働くシニアを取り巻く社会保障の動向には、引き続きアンテナを張っておく必要があります。
【70歳以降の厚生年金保険料徴収はいつまで?】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:70歳になった月の給与明細を見たら、厚生年金保険料が引かれていました。計算ミスでしょうか?
A1:社会保険料は「翌月控除」が一般的です。例えば9月に70歳を迎えて資格を喪失した場合、9月支給分の給料から引かれているのは「8月分(70歳前)」の保険料であるケースが多く見られます。10月支給分の給与明細で控除がゼロになっているか確認してください。
Q2:70歳以降は厚生年金保険料を払わないのに、年金額は増えますか?
A2:任意加入制度を利用して自ら保険料を納めない限り、70歳以降にどれだけ長く働いても老齢厚生年金の額面は増えません。ただし、65歳から70歳までの間に納めた保険料分は「在職定時改定」などにより毎年年金額へ反映されます。
Q3:70歳を超えて個人事業主として働く場合、年金の支給停止はありますか?
A3:在職老齢年金による支給停止の対象となるのは「厚生年金適用事業所で働く被用者(会社員・役員など)」です。個人事業主やフリーランスとしての事業所得は、どれだけ多額であっても在職老齢年金の計算対象外となるため、年金がカットされることはありません。
まとめ:制度を正しく把握して70代のマネープランを
70歳到達による厚生年金保険料の免除は、毎月の手取りを増やしてくれる一方で、所得税・住民税の変動や在職老齢年金による受給額調整といった見落としがちなポイントを伴います。
健康保険料の支払いが75歳まで続く点も含め、自分の手取りが実際にどう変化するのかを正しく把握した上で、無理のない働き方とライフプランを選択していきましょう。 (出典: 70 歳 厚生 年金 保険 料 徴収 いつまで(Yahoo!ニュース))