県名と県庁所在地が違う県はなぜ存在?全19県一覧と歴史の謎を徹底解説
小学校の社会科や中学受験の地理で、多くの人が一度はつまずく「県名と県庁所在地の不一致問題」。「なぜ青森県は青森市なのに、愛知県は名古屋市なのか」「なぜわざわざ違う名前にしたのか」と疑問を抱いた経験を持つ人は少なくありません。
実は、この不一致には明治維新の廃藩置県を起点とする日本の近代化の歩みや、当時の政治的思惑、地域統合のドラマが色濃く反映されています。2026年現在の中学入試や学校テストでも頻出テーマとなっているこの疑問について、全一覧の整理から歴史的真相、効率的な覚え方まで徹底的に紐解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:都道府県名と県庁所在地が異なる地域は全国で最大19箇所(純粋な「県」に限定すると16県)存在する。
- 要点2:名前が分かれた主な背景は、明治政府が「藩」の残影を消すために郡名を採用したことや、港湾開港・都市統合の経緯にある。
- 要点3:かつて語られた「戊辰戦争の懲罰説」は俗説と判明しており、歴史の背景をストーリーで理解すると暗記効率が劇的に高まる。
【全一覧】県名と県庁所在地が違う県は何個?小学生テスト&受験必須リスト
「都道府県庁所在地が違う県は何個あるのか?」という問いに対しては、テストの出題基準やカウント方法によって16〜19箇所と整理するのが正確です。
小学生の地理テスト対策や中学受験の社会科では、純粋に漢字表記が異なる「16県」を暗記の基本としつつ、都道や表記違いを含む全体像を押さえるのが鉄則です。
以下に、名前が一致しない地域の一覧と押さえるべきポイントを整理しました。
【県名と県庁所在地が異なる16県】
- 岩手県:盛岡市
- 宮城県:仙台市
- 茨城県:水戸市
- 栃木県:宇都宮市
- 群馬県:前橋市
- 神奈川県:横浜市
- 石川県:金沢市
- 山梨県:甲府市
- 愛知県:名古屋市
- 三重県:津市
- 滋賀県:大津市
- 兵庫県:神戸市
- 島根県:松江市
- 香川県:高松市
- 愛媛県:松山市
- 沖縄県:那覇市
上記16県に加え、表記や区分が特殊な地域として以下の3つが存在します。
- 北海道:札幌市(「道」のため除外されるケースが多い)
- 東京都:新宿区(地図上の表記は「東京」とされることが多いが、都庁所在地は新宿区)
- 埼玉県:さいたま市(漢字とひらがなの表記違い)
なぜ不一致が生まれたのか?廃藩置県と明治政府の統治方針に迫る
県名と県庁所在地の不一致が生じた最大の原因は、1871年(明治4年)に実施された廃藩置県とその後の再編プロセスにあります。
明治政府は、江戸時代の幕藩体制を解体し、中央集権国家を築くために全国を約300の府藩県に分け、その後の統廃合を経て3府72県、最終的に現在の47都道府県へと絞り込みました。
この過程で、新政府はある明確な命名方針を打ち出しました。旧来の城下町がそのまま県庁所在地となった場合でも、県名には城下町の名前ではなく、その都市が属していた「郡名」を採用したケースが多発したのです。
例えば、名古屋城下を抱える地域には愛知郡から取った「愛知県」、金沢城下には石川郡から取った「石川県」、仙台城下には宮城郡から取った「宮城県」と命名されました。旧藩主の影響力を弱め、地域住民に「新しい時代が始まった」と認識させるための行政的配慮が働いていました。
「戊辰戦争の懲罰説」は本当か?歴史学が明かす県名決定のリアルな真相
かつて教育現場や歴史ファンの間で広く語られていたのが、「戊辰戦争の賊軍・官軍懲罰説」です。
「明治政府(官軍側)に味方した藩は都市名をそのまま県名にし、幕府側(賊軍側)についた反逆藩は城下町名を剥奪されて郡名をつけられた」という説であり、岩手県(盛岡藩)や宮城県(仙台藩)、福島県(会津側だったが福島)などの事例を都合よく結びつけたものでした。
しかし、近年の歴史学研究および公文書の検証により、この懲罰説は完全な俗説・後付けの都市伝説であることが証明されています。
実際には、官軍側として倒幕に大貢献した薩長土肥のうち、肥前(佐賀・長崎)や薩摩(鹿児島)は都市名が県名になっていますが、土佐(高知)も同様です。一方で、官軍の中心であった尾張徳川家の愛知県(名古屋)や、親藩でありながらいち早く恭順した水戸藩の茨城県(水戸)は郡名になっています。
命名の基準は懲罰などではなく、「複数地域を合併する際の公平性」「県庁を置いた場所の郡名」「旧藩の権威の払拭」といった極めて実務的な行政判断に基づいていたのが歴史の真実です。
愛知・三重・神奈川はなぜ?主要3県に見る個別ネーミングの舞台裏
不一致の県の中でも、とりわけ経緯がユニークな3つの主要県について、その背景を掘り下げます。
① 愛知県(名古屋市):大都市の名を避けた広域統合
明治初期、尾張地域は当初「名古屋県」として発足しました。しかし、犬山県など周辺地域を統合して広域行政を行う際、名古屋という特定都市の存在感が強すぎたため、県庁が置かれた愛知郡の名称を採用して「愛知県」へ改称されました。地域の一体感を醸成するための融和策でした。
② 三重県(津市):県庁移転と郡名の名残
旧伊勢国・伊賀国・志摩国が統合される際、当初は安濃津(津)に県庁が置かれ「安濃津県」と呼ばれていました。その後、県庁が一時的に四日市(三重郡)に移転されたことで「三重県」へ改称。後に県庁が再び津市へ戻されたものの、県名自体は三重県のまま定着したという歴史を持ちます。
③ 神奈川県(横浜市):条約締結と開港の駆け引き
江戸末期の日米修好通商条約では、開港場として「神奈川」が指定されました。しかし幕府は、東海道の宿場町として栄えていた神奈川宿での外国人トラブルを恐れ、対岸の小さな寒村だった「横浜」を勝手に開港場として整備しました。明治政府もこの開港拠点を行政中心地とし、横浜に県庁を置きましたが、条約上の国際的な知名度を持つ「神奈川」を県名として残した経緯があります。
【中学受験・テスト対策】一発で覚える!県庁所在地の語呂合わせ&攻略法
小学生の地理テストや中学受験において、県庁所在地の不一致問題は得点源にすべき基本事項です。丸暗記ではなく、語呂合わせやグループ分けを活用すると定着度が跳ね上がります。
【ストーリーで覚える鉄板の語呂合わせ】
- 「盛んな仙台、水と宇都宮の前で横たわる」
(盛岡=岩手、仙台=宮城、水戸=茨城、宇都宮=栃木、前橋=群馬、横浜=神奈川) - 「金色の甲府で、名高い津の大津を食べる」
(金沢=石川、甲府=山梨、名古屋=愛知、津=三重、大津=滋賀) - 「神戸の松に、高い松と那覇」
(神戸=兵庫、松江=島根、高松=香川、松山=愛媛、那覇=沖縄)
【混同しやすい要注意トラップの整理】
特にテストで狙われやすいのが、「松」がつく2つの市(島根県の松江市/愛媛県の松山市)と、「高」がつく2つの市(香川県の高松市/高知県の高知市)の混同です。
- 島根県=松江市(シマネの「マ」と松江の「マ」)
- 愛媛県=松山市(愛媛の「愛(ひめ)」と松山)
- 香川県=高松市(うどん県・香川は高い松)
- 高知県=高知市(高知は県名と県庁所在地が一致!)
【県名と県庁所在地が違う県】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:なぜ県庁所在地は「市」なのに、東京だけ「新宿区」とされることがあるのですか?
A1:東京都にはかつて「東京市」が存在しましたが、1943年の東京都制施行により廃止され、23の「特別区」に分割されました。そのため、都庁が置かれている基礎自治体としては「新宿区」となります。ただし、国土地理院の地図や教科書では、他府県とのバランスや国際的な慣例を考慮し、便宜上「東京」と記載されるのが一般的です。
Q2:さいたま市は県名と県庁所在地が違う県に入りますか?
A2:漢字の「埼玉県」とひらがなの「さいたま市」という表記上の違いがあるため、厳密な文字一致テストでは「不一致」として扱われます。2001年に浦和市・大宮市・与野市が合併して誕生した際、親しみやすさや中立性を目的にひらがな表記が選ばれました。
Q3:今後、県名や県庁所在地が新しく変わる可能性はありますか?
A3:地方自治法上、都道府県の名称変更や県庁所在地の移転は各自治体の条例改正や国の法手続きによって可能です。しかし、システム改修や看板変更など莫大なコストがかかるため、市町村合併に伴う庁舎移転などを除き、都道府県レベルでの名称変更の動きは現代では極めて稀です。
まとめ:歴史の足跡を知れば地理の学びは一生モノの教養へ
県名と県庁所在地が異なる現象は、一見すると単なる暗記の負担に思えるかもしれません。しかしその背景には、明治維新の激動期に日本の近代化を急いだ先人たちの統治方針や、地域統合の試行錯誤が詰まっています。
なぜその名前になったのかという歴史的背景やストーリーを結びつけて理解することで、地理学習の記憶は確固たるものになり、大人になっても色あせない深い教養へと変わります。テスト対策はもちろん、日本の成り立ちを知る知的好奇心の扉として、ぜひ役立ててください。 (出典: 県 名 と 県庁 所在地 が 違う 県(Yahoo!ニュース))